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【C88感想】Green Eyed Monster(Desktop Heaven/地下)

みく、きらりを中心としたアイドルマスターシンデレラガールズの二次創作。

表題であるGreen Eyed Monsterは「深い妬みの感情」とのこと。

本作はタイトル通り、みくがきらりに嫉妬している姿を軸に、好きなこと、やりたいこと、アイドルとは、特別である自分、様々な事への問いが描かれている。

みくが自分の持ってない物を持っているきらりへ嫉妬するが、それが無意味というか、完全に一方的なもので、嫉妬している自分への怒りすら浮かべているのがみくらしくよかった。

作中で先にあげた問いに対しての答えは全然なくて、というかそういうために描いたわけじゃなくて、とにかく「好き好き!」っていう気持ちのもと、描かずにはいられなかった、勢いのある一作だった。

特に「作中で答えが出てない」というのがファンブックらしくて本当に好きだ。この本にも結末はあるものの、お話の起伏としては一作だけの完成度を考えるとまだまだ描きようがあるし、商業なんかだと許されなさそうなんだけど、二人のサイド・オブ・サイドなストーリーとしてはむしろこのくらいの「あり得たかも」な感じが気持ちいい。

実際地下先生の過去の作品を見ると話としてもっとカッチリとした終わり方もできたんだろうけど、そこは目標としてなくて、例えば以前の著作、トワさんシリーズなんかは「なんなんじゃこの女は! ああー! クソッ、好きだ!」という気持ちが見えて話がカッチリするのに対し、G.E.M.では「ああ〜〜〜〜みくにゃんかわいいーーーー!! きらりーーーー!! 結婚してくれーーーーーーーー!!」という、好きは好きでも違う方向性の好きが溢れて、話まとめるより好きの方が大事でしょ!と言わんばかりの愛が感じられた。

ところで書いてて気付いたけどGreen Eyed Monsterでみくの目が緑だし、G.E.M.で宝石で完璧じゃん。

8月22日には著者の2冊目の単行本が出るので合わせて読みたい。