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成コミ

128 - 2019年にもなって任意ラヂヲを振り返る

henai.hatenablog.jp

なんでガルラジの話をしていたら任意ラヂヲの話をするハメになってるのか自分でもよく分かりませんが、先日の記事で任意ラヂヲについては後日書こうかな、と言ったので、書いていこうかな……。
ちなみにinfoseekがなくなりgeocitiesがなくなる直前の今、このタイミングでしておかないといくつかの情報が散逸するからやるしかないというのもあります。



まず概要として、任意ラヂヲ」はデスクトップマスコットアプリ「あれ以外の何か with "任意"」のデフォルトマスコット「さくら」をメインパーソナリティに据えた、2002年前後に発表された二次創作同人インターネットキャラクターラジオです。
この時点で文脈がクッソ多いことにまず笑ってしまうんですが、それ以外の面でも文脈がクッソ多いので笑いが止まりません、アハハ……。


筆者の立場ですが、任意ラヂヲを出した同人サークルTriumphalRecordsが任意ラヂヲ後にインターネット配信を開始したラグナロクオンラインの二次創作オーディオドラマを聞いて同サークルの著作物にハマり、遡ってCDを聞いた後追いリスナーです。任意ラヂヲの存在自体はリアルタイムで認知していたものの、触れていませんでした。その後、伺かやCrowのカスタマイズに手を出すくらいにはドハマりしています。
ただオンタイムではないし記憶を元に書いているので思い違いや知らないこともあるでしょう。これを読んだ当時を知る人には指摘、訂正をしていただきたい。よろしくお願いします。


さて、「CDを聞いた」と書いたんですが、任意ラヂヲインターネットラジオとして配信され、その後まとまった形でCDとして販売されています。
当時はまだラジオをCDにすることも、同人ドラマCDを出すこともそれほどメジャーな行為ではなく、草分け的存在でした。今現在、ラジオ番組を収録したCDが商業流通していますし、コミティアなどに行くとラジオCDを頒布しているサークルを見かけます。あれは偉大な発明だったんですね。しかし当時はまだ確固とした市場が存在しないもので、「ドラマCDの亜種」として僕は受け止めていました。


任意ラヂヲのキャラクターの受容のされ方として、元となった伺か界隈がシェアワールド的な性質を持っていて、アバターのカスタマイズもありな世界だったため、二次創作でありながら一次創作的な受け止められ方をしていたと思います。拡張可能なキャラクター性質のため「任意ラヂヲの任意」として受け止められ、任意の総体としては一派閥、といったところでしょうか。似たような性質としては初音ミクが思い浮かびます。
トークとしては脚本がしっかりとあってキャラクターのペルソナを前面に出しキャストのペルソナは薄く、全然噛まないので完成されたドラマCDという感じです。コンセプトとして「繰り返し聴ける」があげられ、軽快な音楽に乗せてキレのいいコントを繰り広げました。内容はベタ、メタ、内輪ネタ、中の人ネタ、なんでもありで、2000年前半の混沌としたインターネットらしさがあります。ちなみにあまりにもネタがコアな為、後に「任意読本」という解説書が出ました。(cf.月姫読本)


まあ実際に聞いてもらうのが早いでしょう。



さて、ここまで任意ラヂヲがどういうものだったかという事実を語ってきましたが、では任意ラヂヲとは何だったのか。
任意ラヂヲとは音声ファイルの形をしたテキストサイトだったというのが僕の見方です。


I(筆者)と不特定多数のYou(読者たち)の関係性が構築されるのがテキストサイトです。それをラジオという形式のI(パーソナリティ)と不特定多数のYou(リスナー)に持ち込んだものが任意ラヂヲだったのではないでしょうか。
また任意ラヂヲのフィクショナルキャラクターを利用しながらフィクションに根差していない語り、一方でフィクションの設定から発生する定型的な動きは、テキストサイトの看板娘形式の変化形です。

これは当時のテキストサイトやSS界隈、ニュースサイトなどを見回してもありふれた手法で、仮想人格に仮託して言いたいことを言うというのは手堅い手法でした。敢えてそのキャラクターが言いそうにないことを言わせる「壊れ」を持ちネタにするサイトもありましたね。また更新手法として対話形式って筆が進みやすく、比較的簡単に文字数が稼げるので、コンスタントな更新が必要なテキストサイトにはアリな手法だったんです。
ここからヴァーチャルネットアイドルちゆ12歳を始めとするVNIブームや、やる夫スレ、ニコニコ動画のゆっくり実況、果ては今のVtuberなどへとも繋がるんですが、流石にラジオからは離れるのでここまでということで。


以上のことを踏まえてガルラジに話を戻すと、キャラクターの人格の連続性や成り立ちが違うので、参考になりはすれど比較対象ではなく、別の幹の話として捉えてもらえればと思います。
こういうのがあったんだな、と知っていただければ、これに勝る喜びはありません。


追記

その1

なんで任意ラヂヲが二次創作なのに一次創作に近いか、ご指摘いただきました。ありがとうございます。

twitter.com
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そもそものスタートからパクりで、悪ふざけとして濫造されたゴーストたちが多くいたため、そこに任意ラヂヲが加わっても問題なかった、というのは得心がいきます。
そうですね、当時のネットユーザー、そういうのでしたね。

その2

TriumphRecordではなくTriumphalRecordsでした。修正しました。



ここから先は読まなくていいやつです。
いろいろと書いてまとまらなかったんですが、消すのが惜しいのでそのまま載せておきます。
許してくれ。

用語集

任意ラヂヲ」とは

インターネットラジオ。同人ラジオ。キャラクターラジオ。ラジオという名のオーディオドラマ。ラジオを騙る音楽ファイル。またそれをCDにしたもの。

インターネット環境

ADSLの到来と定額使い放題の普及。光ファイバー網もすでにあったがまだ敷設範囲が狭かった。インターネットに入り浸る人の登場。

機材

何回目かのDTMの隆盛とCD-R/RWドライブの普及。パソコンの値段が20万円を切る。それまで商業流通のCDしか知らなかった身に、生CD-Rという概念が与えられ、「CDを自作できる」「作ったゲームをCDに焼くことで配れる」というパラダイムシフトが中高生にすら起きた。パソコンを使う分野においてまた一段楽に「あ、自分で作っていいんだ」と思えるようになった。
以上のことから何年か経った時期。

同人

月姫以後。同人には何度目かのフロンティアが現れていた。

インディーズレーベル

インディーズという概念が広まりきった時期。
それとは別ジャンルとして同人音楽というものが発展していってた。

伺か

任意ラヂヲのキャラクターの元ネタの総称。デスクトップマスコットアプリケーション。「あれ以外の何か with "任意"」が原典ではあるが、総称としては「伺か」が通りやすい。つつくと楽しい。現在のソシャゲホーム画面の祖である(嘘)。プログラムを組むことで会話劇を演じさせられ、今もその系譜は続いている。様々なプラットフォームがあり、当時主流だったバージョン。今はSSP

ゴースト

伺かアバターをゴーストと呼ぶ。換装可能で、色んな人が作っていて、100体以上いた。その多くは二人一組でコントのようなやりとりをした。作った人同士で交流があればゴースト間で特殊会話を付けたりしていた。

「任意」とは

あれ以外の何か with "任意"」「伺か」のデフォルトゴースト。さくら。偽春菜とも。相方はうにゅう。なんで「任意」なのか歴史的経緯は伺かWikipediaを参照のこと。

任意ラヂオ」上での「任意」というキャラクターの取り扱い

二次創作だが、伺か界隈はシェアワールドに近い感覚だったので、本人とも言える。
そもそも伺かのキャラクターは拡張性が高く、大体が毒舌で何を言ってもよく、ユーザーさんがトーク内容を改変可能なことから、「お前の任意はそうなんだろうな。お前ん中ではな」と許されていたのかもしれない。
関係性としては原作版とアニメ版みたいなものである。二次創作なのに。

ニュースサイト

個人ニュースサイト全盛期。任意ラヂヲの更新をここで知ることが多かった。
また任意ラヂヲがニュースサイトからネタを拾いもするので、相互参照の関係だった。

エロゲ文化、ネトゲ文化、2ch文化

当時のオタクの一般教養で、任意ラヂヲではトークの内容としてここら辺を使ってた。例えば「イチゴ電波」「文字ネタは伝わらないよ」というやり取りがあったが、毒電波→苺電波という誤記をネタにしたもの。また毒電波というものもエロゲから拾われており、当時は広く伝わる定番ネタだった。あとネトゲラグナロクオンラインが定着した時期。

インターネットラジオ

まだ機材とソフトと場所が必要で面倒臭かったはず。もうちょっと時代が下るとソフトとマイクさえあれば誰でもできるくらいになるけど、それは2009年とかだっけ?
ちなみに任意ラヂヲはまずホームページにアップロードされ、後日それをまとめたCDを販売する形だった。

任意ラヂヲを出した同人サークル「TriumphalRecords」のメンバー

当時すでにプロだったっけ? 本業が音楽関係で趣味の同人でこういうのを出していました。今もご活躍されています。

任意を演じる声優

非公表だったので中の人もキャラクターに合わせて任意たんと呼ばれていた。放送された内容には中の人ネタも使われていた。今もご活躍されています。

任意ラヂヲのコンセプト

当時のインタビューでは「ラジオの形をしたミュージック」と言っていたような記憶があって、繰り返し聴ける、聞き流されることを目的としたノリノリのミュージックに乗せてテンポのいい言葉選びをして作られた音楽ファイルだった。
編集点の作り方やジングルの置き方、掛け合いの間も計算された、音ネタコントのような構成。

¥e(えんいー)

元ネタとなったアプリ・伺かの終了コマンド。任意ラヂヲの終わりの挨拶としても使われていた。