元祖yajiri

元祖と本家で係争中

152 - 初心者向けに書くのって難しい

「初心者向け」「初学者のための」などを謳いながら、初心者には難解な本というのが世の中にある。
具体的な本を今は思いつかないのだが、何かしら思い当たるところがある人は多いのではないだろうか。

身近な例として、スポーツをやっていると「胸を張れ」と言われることがあるが、あれで要求されているのは肩周辺の関節と背骨、首が適切なポジションに配置され、その結果として次の動作に繋げやすい状態を作ることで、単純に胸を張るだけだと余計な力みが発生し、目的を果たさない。つまり初心者には「胸を張れ」では全然伝わらない。
だけども「胸を張れ」という言い方はけっこう引き継がれているような気がする。

そういった初心者には伝わらない言い方や本は何故生まれるのだろうか。
それは出来るようになった人のアンチョコだからだと思う。

ある程度のレベルに達したときに、そこまでに使った技法をまとめる。そしてそれは初心者の頃に使ったものだから、「初心者向け」と銘打ってしまう。しかし出来るようになったから理解できる言い回しと、出来ないときに理解の手助けとなる伝え方は微妙にズレている。その齟齬が「初心者には伝わらない初心者向け」の発生を助けるのだろう。
また出来る人にはその言い方、書き方で伝わるのも確かで、誰かにチェックを頼んだとしても、出来る人同士では伝わってしまう。そのためチェックが用をなさない。
これらふたつを主要因としているような気がする。

全て想像でしかないが。


ではどのような初心者向けが優れているかだが、これが難しい。
僕が初心者向けの本で欲しいのは、原理原則の試行錯誤を含んだ詳説と、その技術が生まれた歴史的背景、失敗事例集なんだが、これが最適解というわけでもないだろう。
優れた解説書の共通点はこれだ、というのがあればご教授願いたい。