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318 - ゆるキャン△1stシーズンとへやキャンを見た

ゆるキャン△の脚本が虹ヶ咲と同じだと気付いたので、今更ながら遡って見ました。
いや、先に虹ヶ咲の感想を書くべきではあるのですが……。

さておきざっくりと感想を書いていきます。

ゆるキャン△

実は本放送当時1話切りしていました。モータウンサウンドと大塚さんナレーションというのが鼻に付いたので……。いや、本当に申し訳ない……。
あとは僕自身の物語受容としてその頃(2018年)はまだ「人の死なないアニメは見ない」とか言い張るタイプだったので……。石を投げないで……。投げられても仕方ないけど……。
とはいえこうして記事を立ち上げてみたんですけど、2018年の作品を語るにあたって僕から新しく提示できるものとかはなくて、面白かったね~、こりゃ流行るのも頷けるわ~という浅い感想しかない気がするので、もうこの記事畳んでもいいですか?

まぁそれで終わるのも癪なのでもうちょっと書くとすると2021年に見たからこそ出てくる感想としては、書き出しでも言ったようにアニガサキと脚本が同じ方というところで、個人主義の志摩リンとサークルとして活動している野クルが対立ではなく協力という形で関わっていくところが流れを感じる、とかでしょうか。
なでしこ、志摩リン、千明、あおい、恵那。それぞれの家が(千明あおい、リン恵那は近いけど)遠く、高校を中心とした形でしか接点を持っておらず、だけれどもキャンプという共通の趣味を通じて繋がっていく。
マイナースポーツや趣味を題材にしたフィクションが数多くある中で、ある時期まではそのジャンル内のトップを目指すような作品が流行り、次に中高生に大学サークルみたいなゆるい部活をやるタイプの趣味物が流行って、その次の段階としてゆるキャン△が登場したんだなーというのを考えていました。
そういう動機で見始めたからそいう受け取り方をしているという認知の歪みの紹介です。

あとは某コンテンツ*1の影響で山梨-静岡を2019年にバカスカと移動したおかげで、特にゆるキャン△のことを意識してたわけではないのに見た覚えがあるところが多数登場したのとかは面白かったですね。それと山梨-長野の位置関係とかも別コンテンツ*2の聖地巡りを計画してて下調べをした関係でスッと頭に入ってきたとか。なんか巡り巡って色々な物が役立っているのが静かな興奮を呼び起こしました。

他にゆるキャン△ならではのところとしては、背景美術がやっぱ目につきますよね。
写真を加工して背景に使うのってメタ的な演出や省力化を狙ったものが多い印象があるんですが、ゆるキャン△では「キャンプの楽しみ」ということで積極的に写真加工背景を使っているのは素晴らしかったです。そう、キャンプや、キャンプに限らず旅やお出かけって、その土地を見ること、それだけでもう楽しいんですよね。それを狙って表現してきたのは唸ってしまいました。
割と長めに夜景を画面に写したり、広い場所の中にキャラクターがポツネンといる様子が描かれたり、どちらかというと実写寄りの表現だったと思うんですけど、それがここでこうやって面白く受け取られるよう結実しているのは本当に見事でした。
またアニメートとしても各キャラクターの作画が崩れることなく安定していること、コミカルな省力化、そしてリッチな料理や作業の描き方。全てを高水準でまとめ上げているのは驚きです。
ここら辺の手腕は「映像研には手を出すな」や「放課後ていぼう日誌」なんかにも通じるところがあって、2018年以降の作品はゆるキャン△というハードルがあるからそれを乗り越えるために……いや、企画の時期が被ってるからそんなことは考えていないか。もうちょっと上流、それこそゆるキャン△の監督も参加していたヤマノススメを受けてこういう描き方をするようになったとかの方が素直な受け取り方ですかね?
あと劇伴の使い方、どの曲がどこで使われてたとか照合してないので一見しただけの印象なんですが、音による導き方がうまい。今はもうどのアニメ見てもうまいんですけど、ワールドミュージック的な音の使い方はキャンプという異世界への誘いとなってより作品を魅力的にしてくれましたね。

そして最終回、ソロキャンをできるようになったなでしこ……。なでしこを収めた写真を撮る志摩リン……。Beautiful……。

へやキャン

ゆるキャンとは打って変わって5分のショートアニメで、山梨県内を駆け巡るなしっこスタンプラリーを主軸に、原作読んでるわけじゃないんですけど多分ゆるキャン△1stシーズンで削られたであろう野クルの活動に焦点を当てたアニメ。
志摩リンもしっかりと出てくるしけっこう重要な役目になるんですけど、しかし中心としては野クルのメンバーが「共同」で何かをなすことで、それはなでしこが静岡から転居して山梨に馴染んでいくことであり、また千明とあおいの関係性であり、つまりスタンプラリーであるところへ収束していくのは見事。
一方でそれぞれがそれぞれで別個に活動し、時には協力して何事かを為すという個人主義の観点でも、ゆるキャン△1stシーズンよりへやキャンの方が際立っていたように思えました。際立っているというか、1stがあったからこそ時系列をやや遡りつつもその上に新しい物語が描かれる、正当な続編です。
5分アニメではどちらかというとサイドストーリーか描かれることが多い中で、30分アニメでスタートしたゆるキャン△がその続編の5分アニメであるへやキャンでメインストーリーとも言えるものをこうやって描き出してくれるのはすごいことですよ。
そして5分にそれだけの情報量を詰め込められるというか、5分だからこそカドが立ったままで放り込めるのがいいところかもしれませんね。

こちらも最終回が本当に美しい。なしっこスタンプラリーを巡り終えて、次のスタンプラリーが始まる。それはあの旅先で出会った自転車カップルのように。構成の美しさが光ります。



とまぁ急速にゆるキャン△1stシーズンとへやキャンを見て2ndシーズンに備えた感想でした。
そして2ndシーズン、浜名湖周辺、楽しみですね。
アニメ、見ていくぞ!!

*1:ガールズ ラジオ デイズ

*2:上伊那ぼたん、酔える姿は百合の花